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妄:恐らく最も不幸な……
アニメや漫画、小説などで、不老不死のキャラクターが描かれることがある。例えば脳天をぶち抜かれても生きていたり、心臓を抉られても平気だったり、毒を盛られてもピンピンしてます、なんて特技を持っているキャラだ。その上、いくら年をとっても老いることがない。 一見、素晴らしい特性だが、ちょっと待って欲しい。 不老不死キャラの中には後天的に不老不死の能力を手に入れている者もいる。変な魔法をかけられて不老不死、変な薬を飲んじゃって不老不死、変な奴に噛まれて不老不死、変な肉を食っちゃって不老不死……。 だいたい不老不死になったキャラクターは、その事に悩みつつ、不老不死(特に不死)の能力を使って活躍していくわけだ。 不老不死キャラが傷を受けた場合、かなりの確立で傷は一瞬で癒える。腕を切り取られたとしても、一コマで再生なんてことはザラだ。また、年はとらない代わりに、若返ることもない。二十歳で不老不死になったら、永遠に二十歳の姿のままだ。 このことから推測されるのが、不老不死とは、不老不死になった瞬間の状態を維持する能力である、ということである。それゆえ、二十歳の青年はいつまで経っても二十歳だし、腕をもがれても頭を吹き飛ばされても元通り再生できるのだ。 おお、なんて素晴らしい不老不死、なんて思えるのだが、一つ落とし穴がある。多くの場合、各種感覚器官が正常に働いているのだ。空腹でヘタってる不老不死の主人公を見たことはないだろうか? お茶を飲んであっちー、なんて苦しんでいる不老不死キャラを見たことはないだろうか? 全身を切り刻まれ、痛ってえ〜なんてボヤキながら立ち上がる不老不死のキャラをみたことはないだろうか? 不老不死の場合、空腹であろうと、お茶がいくら熱かろうと、いくら痛かろうと生命維持には何の支障もないのだが、不幸にもそれらの感覚が残ってしまうのだ。 ゆえに彼らは空腹を感じ、熱さに苦しみ、痛みに悶えるのだ。 これにともない、不老不死キャラは不幸のどん底に沈む。不老不死になった瞬間、体調不良や傷を負っていた場合、その不調が永遠に続いてしまうのだ。 前述のように、不老不死とは、不老不死になった瞬間の状態を維持する能力だ。例えば頭が痛いときに不老不死になれば、永遠に頭痛と戦うハメになる。また、どこか怪我している場合、その怪我は永遠に癒えることはない。熱で頭がフラフラしているのなら、永遠にフラフラしながら生きていくしかないし、お腹が緩かったのなら、毎時トイレに駆け込む一生を過ごさなければならない。 運良く五体満足、大きな疾患もなく生まれてきた人間も、身体のどこにも不調はなく、どこにも傷を負っていないなんて状況は稀である。肩が凝っていたり、指先に傷があったり、口内炎に苦しんでいたりする毎日である。 相当運が良くなければ、不老不死になる瞬間、全くの無傷で完全に健康でいられはしない。ちなみに、吸血鬼に噛まれて不老不死……なんて場合だと、噛まれた傷は永遠に残るものだと推測される。永遠に傷の痛みと戦う日々……そりゃ忌み嫌われるわけだ。 現在、私はちょっと体調的によろしくない状態だ。なんかお腹痛いし、頭はフラフラしないこともない。一番厄介なのが口内炎で、数えてみると六個もの口内炎(自己最多だ!)ができている。こんな状態で不老不死にされてしまったら、はっきり言って不幸である。 美味しいものを食べても口内炎で痛く、味なんてほとんどわからない。口内炎の痛みは会話も阻害する。また、緩いお腹はトイレに向かわせる頻度を増やし、ぼんやりした頭では、思考もなかなか纏まらない。その上、ヘタに不老不死であるから、恐らく誰も同情してくれないだろう。お腹が痛いので今日は休みます、なんてことは不可能である。 さらに、毒が効かないことを考えれば、薬も効かないと見て間違いないだろう。逃げ道がない。 痛みや苦しみと永遠に付き合い続け、さらにその事に対する同情もない。まさに不幸だ。私ならそんな状況に陥るのなんて絶対嫌だ。 06.11.03
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